Chapter72不動産鑑定評価基準総論第8章

第8章鑑定評価の手順

鑑定評価を行うためには、合理的かつ現実的な認識と判断に基づいた一定の秩序的な手順を必要とする。この手順は、一般に鑑定評価の基本的事項の確定、依頼者、提出先等及び利害関係等の確認、処理計画の策定、対象不動産の確認、資料の収集及び整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整、鑑定評価額の決定並びに鑑定評価報告書の作成の作業から成っており、不動産の鑑定評価に当たっては、これらを秩序的に実施すべきである。

解説

不動産の鑑定評価は、合理的かつ現実的な認識と判断に基づいた一定の手順に従って行わなければならない。これは練達堪能な専門家がこの手順を秩序的に実施することによって、初めて合理的かつ客観的に論証できるものとなる。

鑑定評価の手順は次の通りである。

鑑定評価の基本的事項の確定

依頼者、提出先等及び利害関係等の確認

処理計画の策定

対象不動産の確認

資料の収集及び整理

資料の検討及び価格形成要因の分析

鑑定評価の手法の適用

試算価格又は試算賃料の調整

鑑定評価額の決定

鑑定評価報告書の作成

総論第1章で説明した、鑑定評価の主な手順があるが、それぞれの対応関係は図表8-1のとおりである。

第1節鑑定評価の基本的事項の確定

鑑定評価に当たっては、まず、鑑定評価の基本的事項を確定しなければならない。このため、鑑定評価の依頼目的及び条件、依頼が必要となった背景について依頼者に明瞭に確認するものとする。

解説

不動産の鑑定評価でまず行わなければならないのが、基本的事項の確定である。基本的事項とは、総論第5章で説明した対象不動産、価格時点、価格又は賃料の種類であり、これらは、鑑定評価を始めるにあたってまず確定しておかなければならない事項である。この基本的事項を確定するためには、依頼者の依頼目的や条件に応じて異なる場合があるので、鑑定評価の依頼目的及び条件とともに、依頼が必要となった背景について依頼者に明瞭に確認して行わなければならない。

例えば、依頼目的が担保評価である場合に独立鑑定評価をしてはならない。証券化対象不動産の鑑定評価であれば、特定価格を求めることとなる場合がある。売買の参考であっても、隣地買収となれば限定価格を求める可能性がある。このように、多岐に渡る依頼目的によって鑑定評価の条件や価格の種類等の基本的事項も異なるため、依頼目的を明瞭に確認する必要がある。また、対象確定条件、想定上の条件、調査範囲等条件等の下で鑑定評価を行うが、条件設定は依頼者が行うものであり、条件設定の如何により経済価値は異なる結果となるため、条件設定について依頼者の意思を明瞭に確認する必要がある。さらに、依頼が必要となった背景が、例えば不動産の証券化であれば、特定価格として評価する必要があるのか、隣地買収をするために適正な売買価格を知りたいという場合であれば、限定価格として評価する必要があるのか、賃料改定の参考に評価をするのであれば、将来時点や過去時点の評価をする必要があるのかなど、基本的事項を確定するために依頼の背景を把握する必要がある。

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